親族間の争いを避ける完璧な方法はありません。しかしその争いを少なくする方法はいくつかあります。その中で遺言は相続争いを未然に防ぐ、または最小限に抑える効果のあるものです。遺言書を残しておけば原則その遺言書のとおり相続されることになり、親族間の争いはかなり防げるのです。特に相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は相続争いになるケースが多いので必ず遺言書を書いておきましょう。
遺言は貴方ができる最後の法律行為です。貴方の最後の意思が遺族に届くのです。私達の事務所が取り扱った相続でも遺言書があれば相続人間のトラブルを避けられた事例が幾つもあります。私達は遺言書を書くことを強くお薦めします。40歳過ぎれば遺言書を書きましょう。また一度書いた遺言書の内容を変えたいときには新しく遺言書を作成すれば書き換えたことになります。
遺言書には普通方式である自筆証書遺言、公正証書遺言及び秘密証書遺言と特別方式である死亡が迫った人の一般危急時遺言などがあります。最も多い方式が公正証書遺言で次に自筆証書遺言となります。
遺言書の効力はどの方式の遺言書も同じです。複数の遺言書が存在する場合であって、新しい遺言書と古い遺言書とが抵触するときは、その抵触部分については新しい遺言書が有効となります。
一番手軽に作成できるもので、全文を自書し、日付を入れ、自署し、押印することが必要です。
しかし、2019年1月13日以降に作成したものは、財産目録をパソコンで作成したり、通帳をコピーしたものでもその書面に署名押印があれば、全文自書しなくても有効となりました。
自筆証書遺言のメリットは、ほとんど費用を必要としないので何度でも書き直しが可能であり、また内容の秘密保持にも適しています。反対にデメリットは、無効・偽装・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがあり、また家庭裁判所での検認手続きが必要です。
しかし、これも2020年7月10日からは法務局に預けられる制度が施行され、家庭裁判所の検認も不要となるので、これらの問題が解消されます。
証人2人以上の立会いのもとに公証人が遺言書を作成します。
公正証書遺言の原本の保存期間は20年間となっていますが、実際は半永久的に公証人役場が保管しています。
公正証書遺言では偽造・変造等のおそれはなく、公証人が遺言内容を書くので無効になる心配もなく、それに家庭裁判所での検認の手続きも不要です。また本人が病気などで外出できない場合は、公証人に出張してもらうことができます。ただ公証人の費用が必要となりますが、もっとも安全確実な方法と言えます。
なお自筆証書遺言も同じく遺言執行者を遺言内容として記載しておくと、遺言内容を現実化する手続きがスムーズに行われるので忘れずに書いておきましょう。
遺言書での法的効力のある記載事項は民法に定められています。これ以外の事項を記載しても法的効力はありませんが、財産の分け方の理由や遺言者の気持ちを書くことによって、より相続間の紛争が回避されることが多いものです。これを付言事項といいます。
遺言書には、それを書いた時点での財産について誰に何を相続させるかを記載していますが、現時点での財産の漏れがある場合やその後に増加した財産がある場合には、その記載がない財産について紛争が発生することがあります。ですから、その他一切の財産は誰々に相続させる旨の記載を入れておくのが良いでしょう。
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