遺言書が存在すれば、その内容通りに相続財産の移行手続きを行い、遺言書がなければ相続人全員で遺産分割の協議をします。遺産分割がスムーズに行われるのであれば何ら問題がないのです。しかし、現実は相続人間の争いとなることが意外に多いものです。相続財産が少ないから争いようがない、兄弟の仲は良いからスムーズに協議が進むというものでもありません。個人の権利意識が強くなる傾向にあり、それぞれが一歩譲って話し合いをする必要があると思います。
人の死によって相続人が被相続人の持っていた財産を引き継ぎます。相続人が1人である場合はそのすべてを単独で承継することになりますが、2人以上の相続人がいる場合は相続財産を共有で承継します。このままだと相続人1人1人が自由にその財産を処分することや使用することも不都合なので、相続人全員の合意により遺産を分割することになります。具体的な分割方法には、自宅は長男、農地は二男、ゴルフ会員権は長女というふうに分ける現物分割、相続財産が土地だけで現物分割することができない場合などはその土地を売却換金し、現金で分割するという換価分割による方法です。さらに相続財産が自宅だけで長男が相続し、二男と長女には長男からその代償として金銭を交付する代償分割があります。
配偶者居住権とは、相続開始の時に居住していた建物を配偶者以外の相続人が相続した場合において、配偶者が一定の期間(たとえば配偶者の死亡まで)、その建物を無償で居住できる権利です。
この利点は、居住権の評価額のほうが建物の評価額よりも安く算定されるので、配偶者が自宅を相続するよりも居住権を相続したほうがその他の相続財産(預貯金等)を多く相続することができる点にあります。なお、この配偶者居住権は第三者の対抗するためには登記が必要です(2020年4月1日施行)。
相続人全員の一致がみられないときは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停委員が間に入って調整に当たってくれ、これによって遺産分割がまとまれば調停調書を作成することになります。調停が成立すると、確定した審判と同一の効力を生じるので、調停調書で不動産や預貯金の名義変更が可能になります。もし調停をしても相続人の意見がまとまらなければ、不調になり審判に移行します。
遺産分割協議がまとまらないからと、いきなり遺産分割の審判の申し立てはできません。まずは遺産分割の調停を経たうえでこの申立てができるのです。申立てをすると相続人の意見を聞いたうえで最終的判断として裁判官が審判を下します。これにより遺産分割が決定されることになります。
1. 相続人に未成年者がいる場合
片方の親が亡くなった場合、子供の法定代理人はもう一方の親だけになります。しかし遺産分割では親と子の利益が相反するため子の法定代理人になることができないので、家庭裁判所に対して特別代理人の選任申し立てが必要になります。
2. 相続人に認知症の人がいる場合
理解力の程度により手続きは異なりますが、家庭裁判所に成年後見人、保佐人、補助人の選任の申立を行なわなければなりません。
3. 相続人に行方不明の人がいる場合
家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申し立てや失踪宣告の申立が必要になります。
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