会社設立には、脱サラから会社経営、個人経営から会社経営(法人成り)、会社分割によるなどがあります。会社が設立されると新たな人(法人)が誕生することになります。法人も自然人と同じく権利義務の主体ですが、自然人と異なり会社の目的の範囲内でしか行動することはできません。
会社には株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類、会社以外の法人には学校法人、宗教法人、医療法人など数多く存在します。その他法人設立も会社設立と基本的に同じですが、多くは官公庁の許認可を受けなければならなりません。
会社の商号や役員の変更、本店移転、役員変更、資本増加、会社の解散などする場合は、株主総会や取締役会を開催して決議し、基本的に2週間以内に変更登記をしなければなりません。
〇株主総会
必須機関。最重要議題(定款変更や取締役の選任など)しか決議できな
いが、非取締役会設置会社ではすべての事項が決議できます。
〇取締役
必須機関。株主総会で選任され、任期は原則2年以内(非公開会社は1
0年まで延長可能)の最終の定時株主総会の終結までとなっています。業
務執行者で、非公開会社の場合は各自が代表者となります。
〇取締役会
3名以上の取締役で構成され、公開会社、監査役会設置会社、委員会設
置会社には設置義務あります。業務執行の意思決定機関であり、代表取締
役の選任や代表取締役と取締役の監督を行います。
〇代表取締役
業務の執行機関で取締役設置会社に設置義務あります。
〇会計参与
取締役と共同して計算書類の作成する者で公認会計士や税理士などの資
格が必要です。任期は取締役と同じで非公開会社に会計参与を置けば監査
役は置かなくてもかまいません(取締役設置会社)。
〇監査役
取締役会設置会社では必須機関。公開会社においては業務監査権があ
り、取締役会に出席義務あります。任期は原則4年以内(非公開会社は1
0年まで延長可能)の最終の定時株主総会終結までです。
〇監査役会
監査役3人以上で構成されています。大会社は監査役会を設置するタイ
プか委員会を設置するタイプかを選択しなければなりません。なお、委員
会設置会社には執行役、代表執行役がいる代わりに代表取締役はいまん。
〇会計監査人
大会社と委員会設置会社では必須機関。任期は1年以内の最終の定時株
主総会の終結までで、資格は公認会計士か監査法人に限られます。
設立は発起設立と募集設立とに分かれ、また会社の機関の組合せにより決めなければならないことがかなり違ってきます。ここでは一般的中小企業の株式会社設立について発起設立で説明していきます。
1.商号の決定 - 以前は既存会社によく似た商号を商法で禁止していました。
現在ではこの禁止規定が無くなりましたが、不正競争防止法など他の法律
で紛争が起きる場合が考えられるので考慮する必要があります。
2.定款作成 - 会社の商号、目的、機関、会計年度など会社法に規定されて
いる基本的事項を決めます。
3.印鑑の作成 - 会社の登録印(実印)を法務局へ届ける必要があります。
届けることにより実印となります。普通は印鑑屋に依頼しますが、個人の
印鑑を使用しても構いません。
4.定款認証手続 - 当事務所では電子定款で認証手続をしていますので、定
款に貼る4万円の収入印紙が節約できます。
5.出資金の払込み - 資本金となる出資金を発起人代表の通帳へ各出資者が
振り込む。
6.設立登記の申請 - 発起人決定書、その他必要書類を作成し、会社設立の
登記申請を行います。登記申請日が会社設立日となり、自然人でいう誕生
日になります。
7.官公庁、銀行手続 - 会社設立登記が完了すれば会社の登記事項証明書や
会社の印鑑証明書が法務局から発行されますので、税務署や許認可の官庁
へ届出、銀行で会社の預金口座の新設を行います。
持分会社には、従来から存在する合名会社、合資会社と平成17年に新設された合同会社の3種類があります。合名会社は無限責任社員だけで、合資会社は無限責任社員と有限責任社員とで構成されているに比べ、合同会社は従来の有限会社と同じようにすべて有限責任社員で構成されているところが異なります。
会社設立手続きにおいては、すべて公証人の定款認証が不要なので設立費用が低く抑えることができます。
有限会社法が廃止となり、それまで有限会社として存在していた会社は特例有限会社として存続するようになりました。有限会社という文字を使っていても株式会社であり、株主総会が存在します。従来の社員が株主、持分が株式、1口が1株などと読み替えられるのです。ただ、従前と同じように貸借対照表の公告義務がない、取締役の任期がないなどの規定は引き継がれています。完全な株式会社に移行するには商号変更手続きにより簡単に株式会社になることができます。
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